未来の笑顔を守るために 小児期からの大切なケア
お子さんの歯を守ることは、未来の健康を守ることにつながります。けれども小さなお子さんは、自分で歯の健康を管理することができません。そのため、保護者の方が毎日のケアや食習慣、定期検診を通じてしっかりサポートしてあげることが大切です。むし歯ができたときに「どうせ乳歯だから」と放置してしまうと、あとから生えてくる永久歯に悪影響を及ぼす可能性があります。私たちは、お子さんの未来の健康な笑顔のために、小さなうちからの丁寧なケアを大切にしています。
乳歯の重要性
乳歯は「いずれ抜けるから大丈夫」と思われがちですが、実はとても大切な役割を担っています。永久歯が正しい位置に生えるための道しるべとなるほか、噛み合わせや顎の成長、さらには発音の発達や全身の健康にも関わっています。特に乳歯と永久歯が混在する時期は歯並びが複雑になりやすく、汚れがたまりやすいため、むし歯のリスクが高まります。
当院では、お子さんの年齢や成長段階に応じた予防や治療を行い、噛み合わせやむし歯の管理はもちろん、「永久歯が生えてこない」「乳歯がなかなか抜けない」といった成長過程でのお悩みにも丁寧に対応しています。乳歯の健康を守ることは、お子さんの未来の笑顔と健やかな成長を支える第一歩です
生えたての歯はとてもデリケート
永久歯が生え始めたばかりの時期は、歯の表面がまだ未成熟で粗く、汚れがつきやすい状態にあります。そのため、むし歯になりやすく、しかも進行が早いのが特徴です。また、乳歯にむし歯がある状態で放置していると、隣接する永久歯にもむし歯菌が感染しやすくなり、将来的なリスクを高めてしまいます。違和感や変化に気づかれた際には、お早めにご相談いただくことをおすすめいたします。
むし歯になりにくい歯へ
生まれたばかりの赤ちゃんのお口の中には、むし歯の原因となる細菌はいません。では、なぜむし歯になるのでしょうか。それは、むし歯が「感染症」であるからです。むし歯菌は、保護者の方とのスキンシップや、箸やスプーンの共有などによってお子さんのお口へと移り住みます。特に、生後1歳7か月から2歳7か月の間は、むし歯菌に感染しやすい「感染の窓」と呼ばれる時期です。この時期にお口の接触を控えたり、同じ食器を共有しないように心がけることで、将来のむし歯リスクを減らすことができます。
お子さんの歯の健康のために意識すべき点
お子さんの歯をむし歯から守るためには、毎日の小さな習慣がとても重要です。
- おやつの内容を見直してキシリトール配合のお菓子に変える
- よく噛むことを意識づける
- 食後すぐの歯磨き
- 歯磨きができないときのうがい習慣
当院では、お子さんの年齢や性格に応じた方法で、無理なく楽しく続けられるケアのアドバイスを心がけています。
小児歯科の予防処置メニュー
歯磨き指導
歯磨き指導では、お子さんが歯磨きを嫌いにならず、むしろ楽しみながら習慣化できるよう、歯科衛生士が丁寧にお手伝いします。ただ正しい磨き方を伝えるのではなく、お子さんのペースに合わせ、できたことを一緒に喜びながら進めていきます。
フッ素塗布
フッ素塗布は、生えたばかりの永久歯の表面を強化するために欠かせない予防処置です。歯質の強化と再石灰化を促進し、むし歯の進行を防ぎます。年に3〜4回の塗布を基本とし、ご家庭でのフッ素入り歯磨き剤や洗口剤の併用もおすすめしています。
シーラント
シーラントは、奥歯の細かい溝をプラスチックの樹脂でふさぎ、汚れの侵入を防ぐ処置です。特に生えたばかりの奥歯に適応されるもので、磨き残しが多いお子さんにも高い効果が期待できます。
「くちびる」「ほっぺ」のトレーニング(口腔筋機能療法)
歯並びや噛み合わせを整えるためには、骨格や歯の位置だけでなく、お口の周囲の筋肉の発達も非常に重要です。当院では、お子さんの成長発育に合わせた「くちびる」「ほっぺ」「舌」のトレーニングを取り入れています。早口言葉や「メディカルパタカラ」と呼ばれる専用器具を使い、遊び感覚で取り組める内容となっています。こうしたトレーニングは、口呼吸の改善や指しゃぶりの予防、いびきの軽減にもつながり、健康的な発育をサポートします。